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マザーグースの羽毛布団に統一基準はない

白い羽毛布団の上に置いたグースダウンの羽毛と、無地の品質表示タグ

※当ページは広告を含みます

寝具売り場で、同じ「マザーグース」と書かれた札が二枚並んでいます。片方は3万円台、もう片方は20万円を超えていました。

店員に違いを尋ねると、産地の名前とラベルの名前が返ってきます。それでも、値段がここまで離れる理由までは飲み込めません。家に帰って通販サイトを開くと、そこにも同じ言葉が並んでいました。

マザーグースという表示に、業界で統一された品質基準はありません。中身を分けているのは3つの数字です。その3つとは、ダウン率とダウンパワーと第三者のラベルです。順にほどいていきます。

目次

マザーグースの羽毛布団は、ダックと何が違うのか?

濃い色の台に並べた大小のダウンボールを近くから写した比較

マザーグースは、繁殖用として越年で飼育されたガチョウを指す言い方です。

羽毛布団に使われるグースの多くは、食用として育てられます。生後4か月ほどで出荷されるため、採れる羽毛はまだ育ちきっていません。繁殖用に残された鳥は、年2回の換羽期を何度も迎えます。

体が大きくなり、羽毛も大きく育ちます。この「ダウンボールの大きさ」が、布団になったときの差になる。マザーグースが高い理由は、ここに集約されます。

ダウンボールが大きいと、何が変わるのか

ダウンボールはタンポポの綿毛に似た形をしています。大きいほど、内側に抱え込める空気が増えます。

空気を多く含めるということは、同じ暖かさを少ない量で作れるということです。詰め物が減れば、そのぶん布団は軽くなります。

ふくらむ力が弱い羽毛で暖かさを出そうとすると、量を増やすしかありません。持ち上げたときにずしりとくる羽毛布団は、たいていここが原因です。

もうひとつ、あまり知られていない事実があります。市場で「マザーグース」として扱われる羽毛には、2割ほどオスの羽毛が混ざるのが普通です。

母鳥だけを選り分けているわけではありません。

種類採取される鳥ダウンボール価格の目安
ダック食用のアヒル小さめ1万円台〜
グース生後4か月ほどのガチョウ中くらい3万円台〜
マザーグース越年した繁殖用のガチョウ大きい5万円台〜

業界が言わないのはここです

ここからが、売り場では説明されない部分です。

「マザーグース」は鳥の育ち方を指す言葉であって、品質の等級を保証する規格ではありません。

家庭用品品質表示法に、マザーグースの定義はありません。日本羽毛製品協同組合が発行するゴールドラベルにも、マザーグースという条件は入っていません。

ラベルの判定に使われるのは、ダウンパワー・ダウン率・清浄度・酸素計数の4項目です。親鳥かどうかは、そもそも評価の対象ではないのです。

だから、同じ「マザーグース使用」の札で3万円と30万円が並びます。どちらも表示としては間違っていません。

共通の線がないので、各社が自分で引いている

基準はメーカーごとに違います。西川は自社の分析をもとに、マザーグースを「ダウン率93%・430dp以上」とする社内基準を設けています。

立派な基準です。ただ、裏を返せば、業界共通の線が無いから各社が引くしかない。そういう状態でもあります。

等級の低いマザーグースが、育ちの良い通常のグースに数値で負けることもあります。「マザーグースだから上等」とは限らないわけです。

産地の表示も、同じ構図です

羽毛の産地表示にも、似た話があります。2016年、羽毛布団の産地偽装が新聞の一面で報じられました。輸入量で見れば中国と台湾が大半を占めます。それなのに、店頭にはヨーロッパ産の表示が数多く並んでいました。

産地だけでなく、ダウン率や鳥の種類まで含めた偽装が指摘されています。組合は毎年の試買調査とラベルの発行停止で対応してきました。

これは、どこか特定の会社を責める話ではありません。表示という仕組みが、消費者が思うほど細かくは決まっていない。そこを知っておくという話です。

では、何を見て選べばいいのか?

羽毛布団の隅に縫い付けられた無地の白いタグと、綿生地の織り目

言葉が当てにならないなら、数字を見ます。

見るのはダウン率・ダウンパワー・第三者ラベルの3つで足ります。

1つ目|ダウン率

詰め物のうち、ダウンが何%を占めるかという数字です。残りは羽根(フェザー)で、軸があるぶん重さが出ます。90%以上で羽毛布団らしい軽さになり、93%と95%が上位の目安になります。

気をつけたいのは誤差の幅です。家庭用品品質表示法では±5%が認められています。表示が95%で実際は90%でも、法律上の問題にはなりません。

組合はここをもう少し締めていて、許容幅は±3%。プレミアムゴールドラベルに限っては、マイナス側を1%しか認めていません。

2つ目|ダウンパワー

羽毛のふくらむ力を数値にしたものです。単位はdpで、大きいほど多くの空気を含みます。

市場には250dp前後から440dp以上まであります。ダウン率が同じでも、ここが50dp違えば、軽さと暖かさの体感は変わります。

もともとは「かさ高(mm)」で評価されていました。2012年4月からダウンパワーに切り替わっています。古い記事でかさ高が出てくるのはそのためです。

ダウン率だけを大きく書いて、ダウンパワーに触れていない商品説明。これは、片方しか見せていないことになります。

3つ目|第三者のラベル

日本羽毛製品協同組合のゴールドラベルは、ダウンパワーで4段階に分かれます。経済産業省の認可を受けた、羽毛製品では唯一の団体が出しているものです。

ラベルダウンパワーダウン率清浄度
プレミアムゴールド440dp以上93%以上1000mm以上
ロイヤルゴールド400dp以上90%以上1000mm以上
エクセルゴールド350dp以上80%以上500mm以上
ニューゴールド300dp以上50%以上500mm以上

プレミアムゴールドには、国内の工場で羽毛を充填した日本製であること、という条件も付きます。

4段階の基準値は日本羽毛製品協同組合のゴールドラベルの説明ページに出ています。

ラベルが付いていれば安心、という話ではありません。93%・440dpはあくまで下限だからです。同じラベルの中にも幅があります。

それでも、第三者が測った下限が保証されている意味は小さくない。自己申告だけの数字とは、確からしさが違います。

清浄度と酸素計数も、実は評価されています

清浄度は、羽毛を洗った水の透明度で見ます。数値が大きいほど、汚れや脂分が落ちているという意味です。酸素計数は、残っている有機物の量を示します。どちらも臭いや埃の出方に関わる項目です。

この2つを商品ページに書いている店は多くありません。書いてあれば、それだけで一段確かな情報が増えます。

番外|側生地の書き方にも、店の姿勢が出ます

羽毛の話ばかりになりがちですが、包んでいる生地でも寝心地は変わります。多くの羽毛布団には、ダウンプルーフ加工がされています。生地の目をつぶして羽毛の吹き出しを止める加工です。

止まる代わりに、通気性は落ちます。布団の中に湿気がこもりやすくなるという副作用があります。

細い糸を高い密度で織れば、この加工なしでも羽毛は抜けにくくなります。「ノンダウンプルーフ」と書かれていれば、そちらの作り方だという合図です。

糸の細さは番手で表されます。100番手ともなると、綿の中でも細い部類に入ります。

その3つを満たす布団は、実際にあるのか?

3つとも公開している羽毛布団は、探すと意外に絞られます。ここまでの条件で並べたときに残るひとつが、純日本製をうたう和雲(WAKUMO)のプレミアムモデルです。

見る数字和雲 プレミアムモデル
ダウン率95%
ダウンパワー440dp
ラベルプレミアムゴールドラベル
羽毛ポーランド産マザーグース
清浄度2,000mm以上
側生地インド超長綿100%・100番手平織り

清浄度の数字は補足が要ります。JISの基準は500mm以上で、ラベルの上位でも1000mm以上。2,000mm以上はその上を行く数値です。

羽毛の洗浄を担っているのは、国内の老舗である河田フェザーです。洗浄後にもう一度除塵する工程が入っていて、この数値につながっています。

洗浄と精製の工程は和雲公式の製造工程の開示ページで公開されています。

もうひとつ、精製・洗浄・縫製をすべて国内で完結させている点があります。国内で洗浄まで行う羽毛布団は、日本で売られている枚数のうちごく一部です。

先ほどの「産地が本当かどうか」という不安に対して、工程を開示することで答えている形になります。

ダウン率・ダウンパワー・ラベルの3つに、産地と清浄度と側生地まで並べて確認できます。純日本製羽毛布団「和雲」プレミアムモデル

公式ページには、サイズごとの価格と、本掛け・合掛け・肌掛けの掛け方別の一覧が出ています。

良い点だけでなく弱点も含めて知りたい方は、和雲(WAKUMO)羽毛布団の評判にまとめています。

買ってはいけないのはこれです

マザーグースを選ぶとき、避けたい布団には共通点があります。

  • ダウンパワーが書かれていない
  • ダウン率だけが大きく書かれ、ラベルの記載がない
  • 産地が「ヨーロッパ産」「輸入」とだけ書かれている
  • 表示されている数値に対して、価格が不自然に安い

この4つのうち1つでも当てはまるなら、候補から外して構いません。

数値のわりに安すぎるものが危ういのはなぜか

羽毛には「グルーダウン」と呼ばれるものがあります。細かい羽毛くずを薬剤で固め、ひとつのダウンボールに見せかけた加工品です。

やっかいなのは、固めた状態だと見かけのかさ高が出てしまう点です。検査の数値だけは通ってしまいます。使ううちに固めた部分がほどけ、ふくらみが落ちていきます。買った直後の手ざわりでは見抜けません。

組合の抜き打ち調査では、17点のうち10点に表示の不正が見つかった年もありました。「グース」表示で中身がダック100%、ダウン率95%表示で実際は72%といった例です。

だからこそ、自己申告の数字ではなく、第三者のラベルと工程の開示を見ます。

マザーグースの羽毛布団は、いくらから買えるのか?

厚みの違う三枚の羽毛布団を重ねて並べた寝室の木の棚
価格帯中身の目安
1〜3万円台ダック中心。ダウン率80%台が多い
3〜5万円台グースまたは高ダウン率のダック。350〜400dp
5〜12万円台マザーグース。400〜440dp、ラベル付き
20万円以上希少な羽毛や高密度の側生地を使う層

和雲でいえば、マザーグースを使うプレミアムモデルはシングルの本掛けで74,800円から。スペイン産ホワイトダックのスタンダードモデルが52,800円からです。価格は変わることがあるため、最新は公式サイトでご確認ください。

モデル別の価格は和雲公式の全商品一覧に並んでいます。

マザーグースにこだわらない、という選び方もあります

ここは正直に書きます。マザーグースが常に正解とは限りません。

スタンダードモデルはダックですが、ダウン率93%・400dpでロイヤルゴールドラベルを取っています。数字の上では、名ばかりのマザーグースより上に来ます。

2つのモデルの差は、ダウン率で2%、ダウンパワーで40dpです。この差に2万円以上を出す意味があるかは、使う人の寝室の環境で変わります。

寝室が暖かい住まいなら、上位の羽毛を持て余すこともあります。モデルごとの価格と違いは和雲の羽毛布団は高い?3モデルの価格と違いで比べられます。

逆に、マザーグースのさらに上を見たい方もいます。その場合はアイダーダウンという世界になり、価格の桁が変わります。羽毛布団のアイダーとはで価格帯を確かめてから戻ってくると、判断がぶれません。

よくある質問

Q1|ダックとマザーグース、どちらを選ぶべきですか

鳥の種類ではなく、数字で比べてください。ダウン率93%・400dpのダックと、数値非公開のマザーグースなら、前者のほうが確かです。

同じラベル同士で並んだときに、はじめてマザーグースの大きなダウンボールが効いてきます。

Q2|マザーグースなら何年もちますか

羽毛布団の使用年数は、一般に10年前後が目安と言われます。ダウンボールが大きいほど、へたるまでの余力は残りやすいものです。

ただし、寿命を決めるのは羽毛よりも側生地とカバーの使い方です。カバーを付けずに使えば、生地の傷みが先に来ます。

年に数回、風を通す日を作るだけでもふくらみの戻り方が変わります。天日に長く当てるより、風通しの良い日陰に干すほうが生地には優しい方法です。

Q3|マザーグースの下限はいくらですか

1万円台のマザーグース表示も存在します。表示そのものは違法ではありません。

ただ、ラベルとダウンパワーの記載がないものが大半です。この価格帯で探すなら、マザーグースという言葉は判断材料から外したほうが早いと感じます。

Q4|買ってから合わなかったときの制度はありますか

和雲には60日のスリープトライアルがあります。羽毛布団は到着から60日、羽毛枕は7日です。カバー類や夏用の涼夏シリーズは対象外になります。

返送の送料はかかりませんが、購入時の送料は返金の対象外です。利用は一世帯につき1回まで。比べるための複数注文と返品は、原則として受け付けていません。

返す前提で申し込むと、条件に引っかかって困るのはご自身です。制度は保険として見ておくくらいがちょうどいいと思います。

Q5|マザーグースにも、上下のランクはあるのですか

あります。ただし「マザーグース」という区分での等級はありません。上下はダウンパワーとゴールドラベルで見分けます。440dp以上のプレミアムゴールドが、上の目安になります。

Q6|同じガチョウなのに、グースとマザーグースで値段が違うのはなぜですか

育てた期間が違うからです。マザーグースは繁殖用に越年した鳥で、ダウンボールが大きく育ちます。ただし数値の低いマザーグースもあるため、最後はdpとラベルで確かめます。

まとめ|言葉ではなく、数字で決める

マザーグースは、確かに良い羽毛です。ダウンボールが大きく、少ない量で暖かさを作れます。

それでも、その4文字だけで品質は決まりません。統一された基準がないからです。

売り場で迷ったら、ダウン率とダウンパワーとラベルの3つを探してください。3つがそろって書かれていれば、その店は中身を見せる気があります。

書かれていなければ、値段の根拠は確かめようがない。そこで一度引き返せば、高い買い物で外すことは減ります。

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