MENU

羽毛布団の日本製はどこまで本当?縫製だけ国内でも名乗れるの?

朝の光が差し込む寝室に、白い羽毛布団を整えたベッドと品質表示のタグ

※当ページは広告を含みます

売り場で羽毛布団のタグをめくると、「日本製」の三文字が目に入ります。値札は、隣に積まれた同じような一枚より二万円ほど高い。

この二万円は、どこに払っているのか。店員さんに聞いても「国内の工場で仕立てています」としか返ってきません。家で調べ直して、話がもっと入り組んでいることに気づきました。

羽毛布団の「日本製」は、羽毛の洗いも選別も海外で、最後の縫製だけ国内なら名乗れます。

表示が嘘だという話ではありません。ルールの線が、そこに引かれているだけです。だからタグの三文字だけでは、中身は分かりません。どこを見れば分かるのかを、工程の順にほどいていきます。

目次

羽毛布団の「日本製」は、どこからどこまでが国内なのか?

一枚の羽毛布団ができるまでを、大きく5つに分けてみます。

工程やっていること海外で行われることがあるか
1. 採取水鳥から羽毛を採るほぼ全量が海外
2. 洗浄原毛から脂とほこりを落とす海外で済ませることがある
3. 精製ダウンとフェザーを選り分け、等級をそろえる海外で済ませることがある
4. 充填側生地のマス目に決まった量を吹き込む国内が多い
5. 縫製生地を裁ち、マス目を縫い、製品の形にする国内が多い

この5つのうち、どこか一つでも国内なら日本製と書けるのか。それとも全部が国内でないと書けないのか。買う側は、なんとなく後者だと思っています。ところが表示の世界では、そうなっていません。

羽毛そのものは、国産なのですか?

水鳥の羽毛は、日本ではほとんど採れません。食肉の副産物として出るものなので、鴨やガチョウを大量に食べる国に集まります。

日本に入ってくる原毛は、中国産と台湾産だけで四分の三ほどを占めた年もあります。残りをポーランド、ハンガリー、フランス、スペインなどが分け合う形です。

つまり「日本製の羽毛布団」であっても、中の羽毛はまず輸入品です。ここは、どのメーカーでも変わりません。

側生地の産地と、縫製した国は同じですか?

これも別ものです。羽毛布団の側生地には、インドやエジプトの超長綿がよく使われます。糸を紡いで織るところまでを海外で行い、生地の形で日本に入ってきます。

生地の原産国と、製品の原産国は別に判断されます。輸入した生地を国内で裁って縫えば、製品としては日本製です。

だからタグに「日本製」とあっても、綿がどこで採れたかまでは分かりません。生地の産地を知りたいときは、商品ページの素材欄を見ることになります。

縫製だけ国内でも「日本製」と名乗れます

羽毛布団の裾に縫い付けられた、詰めものの種類と混用率が並ぶ品質表示のタグ

ここが、この記事でいちばん書きたかったところです。

景品表示法では、商品の原産国を「その商品の内容について実質的な変更をもたらす行為が行われた国」と決めています。

この定義は消費者庁「商品の原産国に関する不当な表示」に書かれています。言い換えると、その品物を別のものに変えた工程がどこで行われたか。それが原産国です。

ラベルを貼る、箱に詰める、単に組み合わせる。こうした作業は「実質的な変更」に含まれません。国内でラベルを貼っただけでは日本製になりません。

衣料品では、縫製を行った国が原産国になります。イタリアの生地を中国で縫ったシャツは、中国製です。

では布団はどうか。羽毛布団には、品目ごとの細かい定めが置かれていません。実務では、生地を裁って縫い、製品の形にする工程が判断の軸になります。

羽毛を海外で洗って選り分け、最後に国内で縫えば「日本製」と書けます。

これは、買う側をだましているのですか?

悪意があるかというと、そうとは限りません。線がそこに引かれているだけです。

国内の縫製工場には、マス目を均一に仕上げられる職人が残っています。国内で縫うこと自体に値打ちはあります。吹き出しの少なさや、縫い目のそろい方に出ます。

ずれが生まれるのは、読む側が三文字を「羽毛も国産」「洗いも国内」と読み替えてしまうときです。表示は、そこまで保証していません。

だから「日本製」に意味がない、ということですか?

そうは思いません。国内で縫った布団は、仕立ての精度で選ぶ価値があります。

ただ、その三文字は「仕立てが国内」という情報です。中の羽毛がどう扱われたかは、別の欄を見ないと分かりません。

羽毛を国内で洗うと、何が変わるのですか?

採ったままの羽毛には、脂と土ぼこりが付いています。これを落とすのが洗浄です。

落としきれずに残ると、湿気を含んだときに独特のにおいが立ちます。羽毛布団の「動物くさい」という声は、たいていここから来ます。

洗浄の出来を数字にしたものが「清浄度」です。単位はmm。数字が大きいほど、水に溶け出す汚れが少ない。業界のゴールドラベルは、下のランクで500mm以上、上のランクで1,000mm以上を求めています。

洗いを海外で済ませると、何が追えなくなりますか?

どの水で洗ったか、何度で乾かしたか、乾燥のあと何回ほこりを飛ばしたか。この三つが追えません。水の硬さは国によって違います。硬い水は石けんカスが出やすく、羽毛の細かい枝の間に残ります。

乾燥の温度と時間も差が出ます。低い温度で長く回すか、高い温度で短く抜くかで、羽毛の膨らみ方が変わります。

清浄度は、どこに書いてあるのですか?

品質表示のタグには載りません。タグに載るのは、詰めものの種類と混用率、生地の組成、詰め込み量くらいです。

清浄度は、作り手が自分から出さないかぎり表に出てこない数字です。公開しているかどうかが、そのまま一つの手がかりになります。

では、表示の何を見て選べばいいのか?

白い布の上に広げた羽毛のダウンボールと、軸のあるフェザーの粒立ちの違い

タグと商品ページで見る数字は、次の3つに絞れます。

  • ダウン率 詰めもののうち、ダウンが占める割合
  • ダウンパワー 羽毛1gがどれだけ膨らむか。単位はdp
  • ラベル 日本羽毛製品協同組合のゴールドラベル4種

この3つは互いに連動しています。ラベルの等級が、ダウン率とダウンパワーの下限を決めているからです。

ラベルごとの下限は、いくつですか?

ラベルダウンパワーダウン率清浄度
ニューゴールド300dp以上50%以上500mm以上
エクセルゴールド350dp以上80%以上500mm以上
ロイヤルゴールド400dp以上90%以上1,000mm以上
プレミアムゴールド440dp以上93%以上1,000mm以上

4種の基準値は日本羽毛製品協同組合のゴールドラベルの説明ページで公開されています。

ダウン率が50%を下回ると、羽毛布団ではなく羽根布団という扱いになります。軸のある羽根が半分以上入っている状態です。

十年単位で使うつもりなら、ダウン率90%以上が目安になります。ロイヤルゴールド以上の帯です。

数字を読むときの注意も一つ。ダウン率の表示には±5%ほどの許容差が認められています。93%と書いてあって、実測が90%ということは起こり得ます。

ラベルが付いていれば、それで安心ですか?

ここに、もう一つの抜け道があります。グルーダウンと呼ばれるものです。ダウンに接着剤で細かい繊維をくっつけ、ダウンボールを大きく見せる加工を指します。

かさも重さも増えるので、ダウン率やかさ高の試験を一時的に通ってしまいます。相場より安い値段が付けられる理由の一つです。

使っているうちに接着が外れ、中身が繊維だらけになります。日本羽毛製品協同組合は、安全面からこの羽毛の使用を認めていません。混ざった製品へのゴールドラベルの使用も認めない方針です。

救いもあります。ダウンパワーの高い帯では、この加工で数字が出ません。ロイヤルゴールド以上を選ぶと、紛れ込む余地が小さくなります。

その3つを公開している羽毛布団は、実際にあるのか?

日本では、年に130万枚ほどの羽毛布団が売られています。そのうち、洗浄と選別と検査のすべてを国内で行っているメーカーはごく一部です。

そのひとつが和雲(WAKUMO)です。羽毛の精製と洗浄、そして縫製までを国内で終える作り方を「純日本製」と呼んでいます。

洗いを担うのは河田フェザー。農林水産省が認めた、動物検疫の指定工場です。飲用できる水で洗い、植物由来の石けんを使い、150℃の高温で短時間に乾かす流れを公開しています。

清浄度は2,000mm以上。上位ラベルが求める1,000mmの、さらに倍の水準です。この工程は和雲公式の製造工程の開示ページで公開されています。

モデルダウン率ダウンパワーラベル羽毛
スタンダード93%400dpロイヤルゴールドスペイン産ホワイトダック
プレミアム95%440dpプレミアムゴールドポーランド産マザーグース
アイダー99%非公開非公開アイスランド産アイダーダック

ここは正直に書いておきます。和雲でも、羽毛そのものは輸入です。スペイン、ポーランド、アイスランド。国内で採れる羽毛はほぼありません。

「純日本製」が指しているのは、原料の産地ではなく、洗いから縫いまでの工程です。ここを取り違えると、期待が外れます。

工程の写真と、モデルごとの清浄度・ダウン率・ダウンパワーは、公式の商品ページに数字のまま並んでいます。純日本製羽毛布団「和雲(WAKUMO)」

数字の裏側で、使った人が何を言っているか。良い点も弱点も和雲(WAKUMO)羽毛布団の評判にまとめています。

「日本製」と書いてあっても、避けたいのはこれです

マス目に沿って縫われた白い羽毛布団の側生地と、盛り上がったキルトの膨らみ
見かける表示なぜ避けるのか
ダウン率もダウンパワーも書いていない比べる材料がない。羽根布団の帯かどうかも分からない
ゴールドラベルの記載がなく「高品質」とだけある第三者の基準を通していない可能性がある
羽毛の産地が「輸入羽毛」「ヨーロッパ産」で止まっている国名まで書けない事情があることが多い
洗浄と選別をどこで行ったか触れていない清浄度の裏が取れない
同じ表示なのに、相場から一枚だけ大きく安いどこかの工程が抜けている値段になっている

産地の表示は、なぜ疑う必要があるのですか?

数が合わないからです。日本に入ってくる原毛のうち、ポーランド産は全体の3%ほどしかありません。それなのに、大手の通販サイトには「ポーランド産」の羽毛布団が驚くほど安く、大量に並んでいます。

羽毛の産地の書き換えは、以前から業界の中で問題として扱われてきました。産地名だけを見て決めるのは、いちばん危ない買い方です。

原産国が書いていない布団は、違反ではないのですか?

違反ではありません。品質表示のタグに原産国を書く義務は、そもそも課されていないからです。

タグに義務づけられているのは、詰めものの種類と混用率、生地の組成、洗い方の表示、それに表示者の名前と連絡先です。原産国はここに含まれません。

原産国のルールが働くのは、外国の国名やブランド名が前に出ていて、外国産と思わせてしまう場面です。国産品なら「日本製」と明示すればよい、という順番になっています。

だから「書いていない=隠している」とは限りません。ただ、書いていない以上、こちらから確かめるしかありません。

安い羽毛布団は、全部だめということですか?

そうは書きません。来客用や、季節の短い期間だけ使う一枚なら、三万円台でも役目は果たします。線を引くのは値段ではなく、数字を出しているかどうか。ダウン率とラベルが書いてあれば、安くても比べられます。

書いていないものは、良いか悪いかの判断すらできません。だから候補から外します。

日本製の羽毛布団は、いくらからですか?

価格帯ごとの中身を、目安として並べます。

価格帯中身の目安想定した使い方
1〜3万円台ダウン率50〜80%。ラベルなしか下位来客用・短い期間だけ
3〜5万円台ダウン率80〜90%。エクセル〜ロイヤル毎晩使う一枚の入口
5〜10万円台ダウン率90%以上。ロイヤル〜プレミアム十年単位で使う前提
10万円以上工程と混率まで公開。希少な原毛買い替えを想定しない

工程を国内で完結させると、洗浄と選別の分だけ原価が乗ります。3万円台に収まらないのは、そのためです。

和雲だと、スタンダードのシングルが52,800円から。プレミアムが74,800円から。アイダーが220,000円からです。価格は変わりますので、最新は公式サイトでご確認ください。

3モデルの差がどこに出るのかは、和雲の羽毛布団は高い?3モデルの価格と違いで並べています。いちばん上の帯が気になる方は和雲アイダーモデルとは?もどうぞ。

届いてから合わなかったときは、どうなりますか?

和雲には60日間のスリープトライアルがあります。羽毛布団は最大60泊、羽毛枕は7泊まで試せる制度です。

一世帯につき1回まで。カバー類と夏用の涼夏シリーズは対象外です。返品の送料はかかりませんが、購入時の送料は返金の対象になりません。

制度がある分、決めやすくはなります。ただ、返すつもりで注文するのは向いていません。梱包し直して送り返す手間は、思っているより大きいものです。

よくある質問

日本製と書いてあれば、羽毛も国産ですか?

違います。水鳥の羽毛は日本ではほとんど採れず、原毛はまず輸入です。「日本製」は、国内で仕立てたという意味だと考えてください。

「純日本製」と「日本製」は、何が違うのですか?

法律で決まった区別ではありません。作り手が、精製・洗浄・縫製まで国内で終えていることを示すために使っている言い方です。

言葉そのものより、洗浄をどこで行ったかを書いているかどうかを見てください。

表示のどこを見れば、国内で洗ったと分かりますか?

品質表示のタグでは分かりません。商品ページで、洗浄を担った工場名や清浄度の数値が書かれているかを見ます。書いていなければ、追えないと判断します。

日本製と海外縫製で、値段はどれくらい違いますか?

同じダウン率・同じラベルで比べると、数千円から一万円ほどの差が出ます。差が二万円、三万円と開いているときは、縫製地ではなく羽毛の等級が違っています。

ダウンパワーが書いていない布団は、選んではいけませんか?

ラベルの記載があれば、下限は推測できます。ロイヤルゴールドなら400dp以上です。ラベルもダウンパワーも無い場合は、候補から外して構いません。

羽毛の産地は、どこがいいのですか?

産地名だけで決めないでください。日本に入る原毛は中国産と台湾産が大半で、人気の産地名ほど表示と輸入量が合いません。産地より先に、ダウン率とラベルを見ます。

布団そのものは、国産と海外製のどちらを選べばいいですか?

仕立ての精度で選ぶなら、国内で縫ったものです。ただし国内で縫っていても、洗いと選別は海外という場合があります。洗浄をどこで行ったかまで書いてあるかで分かれます。

この記事を書いた人

目次